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宮本 洋臣 (ミヤモト ヒロオミ) MIYAMOTO Hiroomi
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科研費(文科省・学振)獲得実績 【 表示 / 非表示 】
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研究期間: 2024年04月 - 2029年03月 代表者: 高橋 一生
基盤研究(S) 研究分担者 24H00075
近年全世界で頻発している海洋熱波は、ごく短期間で海洋生物群集に壊滅的な打撃を与え、海洋のもつ生態系サービス機能を大きく劣化させるリスク因子である。本課題では、東西4500kmにおよぶ北太平洋移行域において、「自動採水濾過装置」を搭載した調査船3隻同時一斉観測による高解像度環境DNA試料採集を実施し、プランクトン、魚類、ウミガメ類、海鳥、鯨類までを含む海洋生態系の海洋熱波に対する脆弱性および頑健性を明らかにする。本研究より得られる成果は、グローバルコモンズである公海に対して世界各国が協働して講じるべき対策立案の科学的根拠として、海洋の生態系サービス維持・改善に大きく貢献する。
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黒潮続流域でのサンマ仔稚魚の生残過程:初期餌料と最適成長環境の探索
研究期間: 2019年04月 - 2023年03月 代表者: 宮本 洋臣
基盤研究(C) 研究代表者 19K06215
黒潮続流域は、冬季にマイワシやサンマなど多くの水産上重要な魚種の成育場となっており、仔稚魚にとっての餌の種類・量(以下、餌料環境)や海流によってどのように輸送されるかが生残と、漁獲対象資源への成長(以下、加入)に重要であることが推察されている。しかし、空間的に複雑かつ多様な黒潮続流域の環境と仔稚魚との関係は、ほとんど解明されていない。本研究では、本海域を対象に広範にわたって海洋観測及び生物採集を行い、サンマをモデルケースに植物プランクトンの基礎生産から動物プランクトンを介して仔稚魚の成長につながるエネルギー転送過程を解明する。
冬季の黒潮続流域は、サンマ仔稚魚の重要な生育場である。本研究では、冬季の黒潮続流域において東経140度から西経160度で調査船調査による海洋観測を行い、栄養塩やプランクトンの分布など低次生産機構を解明するとともに、サンマ仔稚魚の海域による食性や成長の違いを調べた。本研究により、サンマの仔稚魚が選択的に食べている餌生物の分布密度は、黒潮流路変化に応じた海洋環境の違いによって時空間的に変化し、それに応じてサンマ仔稚魚の成長も異なることも示された。以上の結果は、仔稚魚の餌料環境は黒潮続流の流れの影響を強く受けており、さらにこのような環境の時空間的違いは仔稚魚の生残を左右する可能性を示唆している。
黒潮続流域の海洋環境は水産資源の変動を理解する上で重要であるにも関わらず、海洋気象が悪いため、現場調査がほとんど実施されてこなかった。本研究では冬季黒潮続流域東経140度から西経155度において海洋観測を実施し、栄養塩や動植物プランクトンの分布について知見を得ることができた。また、サンマ仔稚魚の分布や耳石日輪を調べることにより、黒潮続流域の海洋環境とサンマ仔稚魚の生残との関係についても明らかになってきた。これらの結果は、サンマやその他浮魚の資源変動機構の解明に資するものであり、水産資源の持続的な利用・管理方策の策定に貢献するものである。