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田中 祐希 (タナカ ユウキ)

TANAKA Yuki

職名: 准教授
所属: 海洋環境科学部門
学位: 博士(理学)
学位の分野名: 理学

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研究キーワード 【 表示 / 非表示

  • 海洋物理学

研究分野 【 表示 / 非表示

  • 自然科学一般 / 大気水圏科学  / 海洋物理学

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論文 【 表示 / 非表示

  • Revisiting Tide‐Induced Near‐Field Mixing in the Abyssal Ocean

    Toshiyuki Hibiya, Yuki Tanaka, Taira Nagai, Yusuke Hirano , 2024年11月

    Geophysical Research Letters , 51 (23)

    DOI

  • Superinertial Internal Tides Propagating along the Coast: Dynamics and Energetics Revealed through Topographic Modes

    Yuki Tanaka , 2024年11月

    Journal of Physical Oceanography , 54 (11) , 2321 - 2336

    DOI

  • Energy Conversion Rate from Subinertial Surface Tides to Internal Tides

    Yuki Tanaka , 2023年05月

    Journal of Physical Oceanography , 53 (5) , 1355 - 1374

    DOI

  • Stability of a Flow Over Bottom Topography: A General Condition and a Linear Analysis in a Two‐Layer Quasi‐Geostrophic Model With a Possible Application to a Kuroshio Meander

    Yuki Tanaka , 2021年12月

    Journal of Geophysical Research: Oceans , 126 (12)

    DOI

  • Role of tide-induced vertical mixing in the deep Pacific Ocean circulation

    Takao Kawasaki, H. Hasumi, Y. Tanaka , 2021年01月

    Journal of Oceanography , 77 (2) , 173 - 184

    DOI

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科研費(文科省・学振)獲得実績 【 表示 / 非表示

  • 海嶺上における内部風下波の発生を組込んだ乱流ホットスポットのグローバルマッピング

    研究期間:  2022年04月  -  2026年03月  代表者:  日比谷 紀之

    基盤研究(A)  研究分担者  22H00172 

    深海乱流は表層からの熱を下層に伝えて深層水に浮力を与え、表層に持ち上げることで、深層海洋大循環の形成と強くリンクしているが、毎秒約2千万トンといわれる深層海洋大循環の流量を定常的に維持するだけの深海乱流強度は未だ見出されていない (Missing Mixing)。
    本研究では、潮汐流の振幅が大きくなってくると高波数の海底凹凸地形上では内部風下波が励起されるようになり、従来考えられてきた内部潮汐波と比べ、はるかに多くの潮汐エネルギーをより鉛直上方の乱流混合過程に供給することができるという、従来全く見逃されてきた事実に注目し、Missing Mixing 問題の解決を目指す。
    乱流混合は、長期気候変動をコントロールしている深層海洋循環を制御する重要な物理現象である。そのため、高精度な気候変動予測や海洋物質循環の再現には、全球的な乱流混合強度の正確な見積もりが必要不可欠である。しかしながら、これまで明らかにされた乱流混合強度をすべて足し合わせても、毎秒2000万トンの流量を持つと推定される深層海洋循環を再現することは不可能である (missing mixing問題)。
    この問題を解決できる可能性として、観測の困難さから未解明のまま残されている「海底凹凸地形上における高波数の内部風下波の砕波による乱流混合」に着目する。
    今年度は、従来十分に考察されてこなかった有限振幅の海底凹凸地形上で、内部風下波とその背景に存在するGarrett-Munk内部波場との非線形相互作用によって形成される乱流混合ホットスポットの鉛直構造のパラメータ依存性を明らかにするため数値実験を行った。その結果、海底凹凸地形の振幅が小さい場合 (Steepness parameter<0.3) には、先行研究で示唆されていた通り、「背の高い乱流混合ホットスポット」が形成される一方で、海底凹凸地形の振幅が大きくなってくると(Steepness parameter>0.3) 海底近傍に慣性流が発生し、内部風下波の砕波が促進されるため、次第に「背の低い乱流混合ホットスポット」が形成されるようになることが確認された。
    この他、JAMSTECの学術研究船「新青丸」の共同利用航海にも参加し、伊豆-小笠原海嶺上での投下式乱流計VMP-Xを用いた乱流観測を実施した。
    当初はハワイ海嶺上での乱流観測を予定していたが、現地協力機関の都合により実施困難となってしまったため、JAMSTECの学術研究船「新青丸」の共同利用航海に参加し、伊豆ー小笠原海嶺上で乱流観測を実施することができた。しかしながら観測スケジュールの都合上、取得できた乱流データ数が少なかったため、研究代表者の理論的予測の検証をさらに進めるためには、再度、次年度に同海域における乱流観測を実施する必要が生じている。
    海底凹凸地形の近傍に形成される乱流混合ホットスポット、いわゆるNear-fieldの乱流混合ホットスポットの解明に向けて、これまでに実施してきた数値実験の結果を取りまとめて論文化を目指す。さらに、顕著な内部波の励起源であり、かつ、高解像度の海底凹凸地形データが存在する伊豆-小笠原海嶺上での投下式乱流計VMP-Xを用いた乱流観測も続行し、乱流混合過程の背後にある物理機構に基づいた内部風下波起源の乱流パラメタリゼーションの式の定式化を目指す。

  • 狭い海洋フロントにおけるサブメソスケール現象の発生・発達に関わる不安定機構の解明

    研究期間:  2021年04月  -  2025年03月  代表者:  田中 祐希

    基盤研究(C)  研究代表者  21K03664 

    海洋中のサブメソスケール(数km~数十km)現象は熱や運動量の輸送を通じて海盆スケールの循環に影響を与える重要な物理過程であり、その主要な励起機構としてフロント域で活発に働く混合層不安定と対称不安定があることが、無限に広い理想的なフロントを対象とした理論的研究によって知られている。本研究では、狭い範囲に局在する現実的なフロントにおける混合層不安定と対称不安定の特徴(成長率、空間構造、熱フラックス等)を、フロント横断面内での線形安定性解析と高解像度の数値実験によって明らかにし、渦解像海洋大循環モデルや現場観測データで見られるサブメソスケール現象の発生機構を海域や季節ごとに同定することを目指す。
    海洋中のサブメソスケール現象は、熱や運動量の水平・鉛直輸送を通じて、海盆スケールの循環にも影響を与える重要な物理過程である。本年度は、昨年度に引き続き、サブメソスケール現象の代表例として海底地形に捕捉された内部潮汐波を取り上げ、昨年度までに報告者によって構築された理論に基づく解析を実施した。
    慣性周波数以下の周波数を持つ(subinertialな)内部潮汐波は、海底地形に捕捉されて伝播し、その鉛直断面構造は浅い海域では順圧的で、水深が深くなるにつれて傾圧性を増すという特徴を持つ。報告者は、地形性モードという概念を導入することで、順圧的な構造を持つ内部モードを外部モードから分離し、subinertialな内部潮汐波の励起率を定式化することに成功した。
    海底地形に沿って伝播し、浅い場所で順圧的な構造を持つ内部モードは、慣性周波数以上の周波数を持つ(superinertialな)内部潮汐波においても存在することが知られている。本年度は、報告者の新しい定式化をsuperinertialな内部潮汐波へと適用し、その有効性をより広い緯度帯で検証するとともに、海底地形に捕捉されたsuperinertialな内部潮汐波の力学特性を調べた。
    理想的な大陸斜面を仮定した数値実験の結果、報告者の定式化は、superinertialな場合にも内部モードを単離するのに有効であることが示された。さらに、エネルギー解析の結果、地形性モードの寄与は、内部潮汐波がわずかにsuperinertialな場合には傾圧モードの半分程度に達すること、大きくsuperinertialな場合でも無視できない程度であることが示された。この結果は、従来の定式化ではsubinertialだけでなくsuperinertialな内部潮汐波の励起率も過小評価されており、報告者の定式化を用いた再評価が必要であることを意味している。
    2023年度は、代表的なサブメソスケール現象の一つである地形に捕捉された内部潮汐波について、2022年度までに報告者らによって構築された新理論に基づいて、その力学特性とエネルギー収支を調べた。2023年度は特に、superinertialな内部潮汐波に着目し、2022年度より広い緯度範囲で解析を進めた。この目的のために、様々な慣性周波数のもとで、バンプの付いた大陸棚・大陸斜面上に外部潮汐流の強制を与える理想的な数値実験を実施した。さらに、得られた結果を取りまとめ、国際誌へと投稿した。現在、論文の改訂中であるが、その過程で必要になった再計算に時間を要しているため、予定より若干の遅れが生じている。
    今後、報告者らの新たな定式化を全球の潮汐シミュレーションの結果に適用することで、subinertialおよびsuperinertialな内部潮汐波の励起率の全球マッピングを作成することができれば、潮汐混合過程およびサブメソスケール現象過程の解明に極めて大きな貢献をもたらすものと期待できる。以上のように、全体的な進捗状況としては若干の遅れが生じているものの、期待以上の成果が得られつつあるものと判断できる。
    2023年度には、代表的なサブメソスケール現象の一つである地形に捕捉されたsuperinertialな内部潮汐波について、理想的な状況を仮定した数値実験結果に報告者らの新理論を適用することで、その力学特性とエネルギー収支を調べた。現在、この成果を取りまとめた論文の改訂作業を進めている。
    2024年度には、まず、この改訂において必要になった再計算・再解析を速やかに実施し、本研究の成果を論文として遅滞なく公表する。
    さらに、報告者らの新たな定式化を全球潮汐シミュレーションの結果に適用することで、subinertialおよびsuperinertialな内部潮汐波の励起率の全球マッピングを目指す。内部潮汐波の励起率は、従来、順圧潮汐から傾圧潮汐へのエネルギー変換率として見積もられてきた。しかしながら、2023年度までの報告者らの研究によって、subinertialな場合はもちろん、superinertialな場合であっても、内部潮汐波は海底地形上では順圧的な構造を持ち得ること、この順圧的な内部潮汐波はエネルギー収支において無視できない寄与を果たすことが示された。この事実は、従来の見積もり方法では内部潮汐波の励起率が過小評価されてしまっている可能性が非常に高いことを意味する。そこで、報告者らの新たな手法を用いることで、より正確な全球マッピングを提示することを目指す。

  • 太平洋の熱帯不安定波から放射される内部波による乱流混合の素過程解明とその影響評価

    研究期間:  2017年04月  -  2022年03月  代表者:  田中 祐希

    若手研究(B)  研究代表者  17K14389 

    赤道太平洋には、熱帯不安定波と呼ばれる、約0.5 m/sの速度で西進する波長約100 kmの顕著な擾乱が存在する。熱帯不安定波のフロント部から海洋内部に向けて放射される内部波は、水温躍層における乱流混合を引き起こすことで表層から中深層への熱輸送をコントロールし、赤道太平洋の海面水温にも影響を及ぼす重要な物理過程である。本研究では、赤道太平洋における熱帯不安定波の発生メカニズムを、赤道すぐ北の狭い緯度帯に存在する局所的な渦位勾配に捕捉され、逆向きに伝播する二つのロスビー波の結合という観点から明らかにした。さらに、熱帯不安定波のフロント部からの内部波の放射過程についても詳細な検討を行なった。
    赤道太平洋の熱帯不安定波は、鉛直乱流混合や熱輸送を通じて熱帯域の海面水温分布に大きな影響を与える重要な現象である。本研究では、熱帯不安定波の発生メカニズムを明らかにしただけでなく、赤道のすぐ北に存在する局所的な負の渦位勾配の強度が熱帯不安定波の活動度を表す良い指標になっていることを指摘した。この渦位勾配は低解像度の海洋大循環モデルでも比較的容易に再現可能であることから、今後、熱帯不安定波に伴う熱輸送や乱流混合強度のパラメータ化を進めていく上で非常に有効であると考えられる。

  • 鉛直混合の素過程の解明とその定式化

    新学術領域研究(研究領域提案型)

    研究期間:  2015年06月  -  2020年03月  代表者:  日比谷 紀之

    その他  研究分担者  15H05824 

    現在の数値モデルに組み込まれている鉛直乱流混合のパラメタリゼーションは、現実の海洋観測の結果を反映しているとは言い難い。本研究では、伊豆-小笠原海嶺上における乱流観測やその数値シミュレーションの結果を参考にしながら、既存の乱流パラメタリゼーションを改良し、「海面から海底までシームレスに繋がる乱流パラメタリゼーションの定式化」を実現した。さらに、地球気候に大きな影響を与えるインドネシア多島海で世界初となる大規模な乱流観測を実施し、当該海域における乱流混合強度の定量化を行った。
    この他、海洋表層のラングミュア循環に関して数値実験を行い、波浪と吹送流との相互作用による新たな駆動機構を明らかにした。
    本研究は、海洋物理学において最大の不確定要素として残されてきた海洋乱流の定量化に取り組んだ意欲的な研究である。本研究の成果である「海面から海底までシームレスにつながる乱流パラメタリゼーションの定式化」は、気候変動予測の精度の格段の向上に寄与するものと期待することができる。
    また、その重要性を誰もが認識しながらも乱流観測の空白域として残されてきたインドネシア多島海で、世界初となる乱流大規模観測を実施し、海面から海底直上までの乱流混合強度のプロファイルの取得に成功したことは、特筆すべき成果といえる。