科研費(文科省・学振)獲得実績 - 茂木 正人
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熱-水-物質の巨大リザーバ:全球環境変動を駆動する南大洋・南極氷床
新学術領域研究(研究領域提案型)
研究期間: 2022年04月 - 2023年03月 代表者: 川村 賢二
その他 研究分担者 22H04909
本新学術領域「南極の海と氷床」では、多分野間の連携研究により、先端的手法を用いて南極の様々な環境をシステム学的に研究し「南極環境システム学」を創成した。本取りまとめは、領域全体の5年間の集大成として、研究期間が終了したタイミングで領域全体として達成した成果や個別の成果を総括し、本領域を締めくくるとともに、今後の重要課題等について整理し、次世代に残すことを目的とする。
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南極海外洋域の生物学的ホットスポット:ナンキョクスカシイカ稚仔からのアプローチ
研究期間: 2021年07月 - 2024年03月 代表者: 茂木 正人
挑戦的研究(萌芽) 研究代表者 21K19292
南極海に生息するナンキョクスカシイカ稚仔の初期生活史を明らかにし,その他の中深層性生物の稚仔とともに集中して分布する海域の,生物学的な意義を解明する.具体的にはナンキョクスカシイカ稚仔の1)形態発育,2)分布様式と環境,3)食性の解明,の3つの課題に取り組む.海洋観測とナンキョクスカシイカの採集は、東京海洋大学「海鷹丸」の航海で実施する。1年目と2年目に東経110度ライン上の南緯55度以南の海域で、大型リングネットと大型開閉式ネットMOHTを用いて実施する。同海域で過去に得られたサンプルも用いる.最終年度は主に成果の取りまとめを行う。
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熱-水-物質の巨大リザーバ:全球環境変動を駆動する南大洋・南極氷床
研究期間: 2017年06月 - 2022年03月 代表者: 川村 賢二
新学術領域研究(領域代表者) 研究分担者 17H06316
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南大洋センティネル計画-日豪共同によるインド洋区生態系のベンチマーク2020-
研究期間: 2017年04月 - 2022年03月 代表者: 小達 恒夫
基盤研究(A) 研究分担者 17H01618
食物連鎖を推定するためのゲノム解析試料を行うため、平成29年5月には、ビーズ式破砕装置を購入し、ゲノム解析試料を調整するための予備実験を行い、今後得られるゲノム解析試料の調整が短時間で可能であることが分かった。
平成29年度の南大洋における現場観測は、平成29年度東京海洋大学「海鷹丸」南極航海(平成29年12月31日~平成30年1月22日)において実施した。動・植物プランクトン、魚類稚仔を採集するとともに、ゲノム解析用試料を持ち帰った。当初計画では、表層ブイシステムを作製し、中規模渦発生海域に投入する予定であったが、観測時間を十分に確保することが出来ないことが判明したため、平成29年度の投入は断念した。
日豪の研究協力強化に関しては、平成29年8月12~16日に、SOOS RWG - Southern Ocean Indian Sector Working Group 2017 Meetingを神奈川県葉山町で開催した。この会議は、南極研究科学委員会(the Scientific Committee on Antarctic Research (SCAR))、及び海洋研究科学委員会(the Scientific Committee on Oceanic Research (SCOR))が主導する、Southern Ocean Observing System(SOOS)における海区毎のワーキンググループ(Regional Working Group (RWG))の一つである。日本とオーストラリアの主要研究海域である南大洋インド洋区では、Southern Ocean Indian Sector Working Groupを組織している。日豪の研究者が中心となり、南大洋インド洋区で研究を行っているフランス・中国・インドの研究者が参加した。また、「海鷹丸」が南極航海を終え、オーストラリア・ホバートへ寄港した際には、タスマニア大学のInstitute for Marine and Antarctic Studies (IMAS)においてUmitaka Maru Seminarを開催し、今後とも海洋研究分野における日豪の協力を進めることを確認した。
平成29年度の「海鷹丸」南極航海において、生物種の分布特性を調べるための動・植物プランクトン、魚類稚仔の試料を採集することが出来た。また、動物プランクトン・魚類稚仔では、消化管を摘出した試料、糞粒試料を用いて、食物連鎖を推定するためのゲノム解析用の試料を得ることが出来た。ゲノム解析試料調整の予備実験から、現場で得られた試料を迅速に解析用試料に調整できる。
本課題と深く関わる「南極海洋生態系センティネル研究-事前観測-」(科学研究費補助金 基盤研究(A)(海外学術調査)(平成24~28年度)(研究代表者:小達恒夫))等で得られた成果を取りまとめ、学術雑誌Polar Scienceの特集号として公表している(平成29年7月)。また、この特集号に間に合わなかった成果については、関連学会等で発表している。本課題で得られた成果についても、迅速に公表して行く研究組織であるといえる。
日豪の研究協力強化に関しては、SOOS RWG - Southern Ocean Indian Sector Working Group 2017 Meetingを両国が中心となって開催し、南大洋インド洋区の海洋研究におけるリーダーシップを発揮することが出来た。また、Umitaka Maru Seminarにおいても、海洋研究分野における日豪の協力を進めることを確認することが出来た。
以上のことから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
平成30年度においては、平成29年度までに行われた「海鷹丸」南極航海において得られた動・植物プランクトン、魚類稚仔試料、およびゲノム解析用試料の解析を実施する。特に、動物プランクトン・魚類稚仔では、消化管を摘出した試料を用いて、食物連鎖を推定するためのゲノム解析試料を行う。これらの解析から不足していると考えられる試料については、平成30年度に実施される「海鷹丸」南極航海において採集する。
また、これまでに得られた試料の解析の研究成果を、平成30年4月にホバート市で開催される2018 Marine Ecosystem Assessment of the Southern Ocean Conference(MEASO2018)において発表する。MEASO2018期間中には、今後の南大洋センティネル計画(Southern Ocean Sentinel)における日豪協力体制について議論することにしている。MEASO2018における各国の動き、および日豪の議論を受けて、平成30年7月に東京で開催される第4回南極科学に関する日豪ワークショップにおいて、海洋生態系分野における日豪協力の進展および今後の方向性について報告する。 -
南大洋の氷縁域におけるハダカイワシ仔魚の初期生活史と餌料環境動態
研究期間: 2015年04月 - 2020年03月 代表者: 茂木 正人
基盤研究(B) 研究代表者 15H05239
1)2017年1月にアデリーランド沖(東経110度トランゼクトとその周辺海域)において約2週間にわたり海洋観測を行った。プランクトン採集に使用したギアは鉛直多層式開閉ネット(VMPS)、ORIネット、多段開閉式ネット・環境測定システム(IONESS)、ニスキン採水器などであった。IONESSやORIネットでは、本研究のメインターゲットであるハダカイワシ科魚類の仔魚が多数採集された。さらに、VMPSや二スキン採水器では、餌生物となる動物プランクトンの採集が行われた。
2)昨年度得られた試料を用い、ハダカイワシ仔魚の消化管内容物を観察したところデトリタス(有機物塊)が一定量見出された。デトリタスの詳細な観察を行ったところ珪藻類が多数出現したことから、2017年の観測航海においては、海氷中に含まれる珪藻類にも着目し、海氷の採集やその周辺海域の植物プランクトンの採集も行った。現在のところ、ハダカイワシ仔魚から見つかったデトリタス中の珪藻類が、海氷から放出されたものに由来するのか、海氷との関連が無いものなのか不明である。この課題については安定同位体不分析などを行うことによって解明されると考えられ、2017年の航海では安定同位体分析用の試料を採取した。
1)海洋観測は予定通り実施され、研究を遂行するために必要な生物サンプルが得られている。
2)昨年度のサンプルの解析は進んできたものの、十分な成果発表に至っていない。
3)本助成金で購入したVMPSの調整や国内航海での試験は順調に行われ、南極航海でも滞りなく機能した。
4)オーストラリアでの、研究協力者らとの共同研究を開始した。
1)国内での学会(5月、10月、12月)において、合計5~6件の発表を行う。国際学会(7月)には2件の発表を行う。
2)これまで得られたサンプルの解析をさらに進め、2018年度の投稿を目指す。
3)2018年1月に南極海アデリーランド沖(東経110度トランゼクトとその周辺海域)において海洋観測を実施する。昨年度も実施した漂流ブイを用いた海氷下の生物の動態・活性を把握するための観測を再度実施し、再現性を検証する。
4)オーストラリアの研究協力者との共同研究を継続し、共同観測も実施する。