科研費(文科省・学振)獲得実績 - 高木 直之
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海事英語知識ベース構築による海事英語機械翻訳の改善と翻訳エンジンの公開
研究期間: 2024年04月 - 2027年03月 代表者: 高木直之
基盤研究(C) 研究代表者 24K03942
AIの発達により、ChatGPT、Google翻訳、DeepL などのオンライン翻訳エンジンの翻訳精度は各段に向上したが、専門性の高い海事関係の英語文献の日本語への翻訳には、改善の余地が多い。本申請では「海事英語」を広く航海と船舶の運航に関する「航海英語」と船舶の主機関とその運用にかかわる「機関英語」のコーパスの総体ととらえ、これを日本語に翻訳することに特化した知識ベースを作成してChatGPTに組み込み「海事英語」の機械翻訳の精度向上を目指す。完成したシステムはネット上に公開し、フィードバック機能を組み込むことで、恒常的な翻訳精度向上を図る。
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研究期間: 2021年04月 - 2024年03月 代表者: 高木直之
基盤研究(C) 研究代表者 21K00648
ネット上での自宅学習と教室での学習活動を組み合わせた「ブレンド型」の言語学習を前提とし、国際航海に従事する外航船で働き、主機関及びその他の機器の運用・保守に責任を持つ機関士に必要不可欠な英語(=機関英語)を包括的にカバーする学習プログラムを作成、これを東京海洋大学における機関英語の授業で実施し、その成果を検証する。この目的達成のため、(A)機関業務の遂行に必要な英語力を記述する CAN DO LIST、(B) 機関英語ブレンド型学習教材、(C) 基礎文法学習教材(機関英語の文脈を使用したネット学習教材)、(D) 機関英語テスト(プログラムの成果検証用)を作成する。
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「国際語としての英語」発音目標設定のために:使用目的と聞き手を考慮した実証的研究
研究期間: 2017年04月 - 2021年03月 代表者: 内田 洋子
基盤研究(C) 研究分担者 17K02805
(1) 英語発音教育において、学習者が目指すべき達成目標を「コミュニケーションに支障を及ぼさないレベルの発音」に据える一方、英語教員はそれよりも「一歩上」の発音を目指すべきとされる。それぞれがどのような発音であるべきか、習得すべき音声項目をリスト化する作業を試みた。
(2) 音声学を普及することを目的に開催されたシンポジウムにて、教職音声学(教員免許状取得希望の大学生が履修する音声学授業)はどのような内容で行われるべきかについて、これまでの調査で明らかになった内容を踏まえて、発表を行った。英語教員志望者は生徒のモデルになるために英語母語話者と同じような英語発音を目指している傾向があるが、そのような発音の習得は現実的ではない上、目標を達成できないことで自信を失う傾向もあるので、「わかりやすい発音」を目指す指導の推進が必要であること、限られた授業時間を使ってわかりやすい発音を習得するためには優先順位をつける必要性があること、また、わかりやすい発音がどのようなものであるかを体感・理解させるために、様々な背景を持つ英語話者と英語を用いてコミュニケーションを行う経験をさせる必要性を指摘した。
(3) 英語教員志望者が目指すべき発音モデルの設定と関連して、英語教員を目指す学生が発音した音声データを3つのグループ(英語母語話者・日本語母語話者・中国語母語話者)に聞かせてaccentedness(訛りの度合い)と 教師としての acceptability(ふさわしさ)を測定する実験を行った。母語背景に関わらず、3つのグループいずれにおいても、訛り度とふさわしさの間の相関は高かった。また、英語教員としてふさわしくないという判定はグループに関わらず共通性が見られた一方、ふさわしいという判定については多様性が見られた。
使用目的や聞き手に応じた日本人が目指すべき発音の幅の設定を試みることを目指して、本研究では特に日本人の海技職志望者と英語教員志望者を研究対象に設定している。平成30年度は前年度に引き続き教員志望者に着目し、彼らが目指すべき発音について生徒が目指すべき発音と対照させることによって検討を行い、一定の成果を得ることができた。
平成31年度は、intelligibility, acceptabilityについて、聞き手の母語の影響について知るために、さらに聴取実験を実施する予定である。また、国際共通語としての英語や機能的負担量といった考え方を取り入れつつ、優先的に習得すべき発音リストの作成も完成させたい。