科研費(文科省・学振)獲得実績 - 山本 洋嗣
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地球温暖化・気候変動が魚類の繁殖動態に及ぼす影響評価手法の開発
研究期間: 2024年04月 - 2029年03月 代表者: Strussmann C.A.
基盤研究(A) 研究分担者 24H00768
地球温暖化と気候変動が問題視されている今、特に沿岸域および内水面に生息する低回遊性魚類では、異常水温や気候変動に起因した種々の異常環境による生殖障害が懸念される。本研究では、世界各地の様々な水圏域に分布し、生殖障害が生じやすい魚種を「魚類繁殖機構に及ぼす地球温暖化・気候変動影響」の早期警戒指標として選定し、フィールド調査と先進の分子生化学手法・生態バイオインフォマティクス・リモートセンシング技術を融合することで、地球温暖化と気候変動が、魚類資源とそれを取り巻く生態系に与える悪影響の評価・予測システムの樹立とその実用化・高精度化を目指す。
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魚類の環境依存的性決定の分子基盤:環境はどのようにして遺伝的性を上書きするのか?
研究期間: 2024年04月 - 2029年03月 代表者: 山本洋嗣
基盤研究(B) 研究代表者 24K01850
有性生殖は種の繁栄と進化をもたらすが、その原動力となるのが性である。魚類は殆どの種が雌雄異体であり、その多くは受精時の性染色体の分配により性が決定する。しかし、仔稚魚期に晒された環境要因の影響により、性染色体によって決められたプログラム通りに生殖腺分化が進まず、逆の性に上書きされることがある。当初、この現象は一部の魚類にのみ起こる現象と考えられていたが、近年、分類群を越えた多くの魚種で報告されている。本研究では、性の環境感受性が高いモデル魚を用い、種々の環境要因によりどのような作用機序・反応規範のもとで性染色体による遺伝的性が上書きされ性転換が誘導されるのか、その普遍性と多様性の解明を目指す。
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地球温暖化・気候変動に脅かされる南米温帯性魚類の繁殖モニタリングと遺伝子資源保全
研究期間: 2023年09月 - 2029年03月 代表者: 山本洋嗣
海外連携研究 研究代表者 23KK0118
トウゴロウイワシ目魚類は南米諸国における水産重要種であり、野生環境では小型種は多くの魚食性生物の餌生物として、大型種は上位捕食者として、湖沼・河川・沿岸生態系を支える極めて重要な位置を占める。しかし、本目魚類はその性決定機構が高い水温依存性を示すことから、特に地球温暖化・気候変動に起因した性比不均衡と地域集団の絶滅が危惧される種である。本課題では、南米における魚類資源の持続的利用と水圏生態系・生物多様性保全に資するため、トウゴロウイワシ目魚類の雌雄比・生殖異常の実態調査と、先進の生殖工学的手法を駆使した遺伝子資源の半永久的保存体制の構築に取り組む。
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研究期間: 2020年07月 - 2023年03月 代表者: 山本洋嗣
挑戦的研究(萌芽) 研究代表者 20K21328
人間活動由来の様々な環境ストレスが海洋生物に悪影響を与えることが危惧されているが、魚類では未だ正確な環境影響評価技術の開発には至っていない。そこで本研究では、魚類耳石を用いた環境影響評価技術の確立を目指す。耳石には、環境水中あるいは生体内の微量元素を取り込み伸長・増大するという特性がある。もし、各種環境ストレスの強弱と耳石に取り込まれる元素量の増減に相関関係があれば、耳石の年齢形質と微量元素の組成変化を組み合わせることで、野生個体が経験した環境ストレス暴露情報を追跡することが可能となる。本研究では、沿岸性魚類を様々な人為的環境ストレスに暴露し、耳石の微量元素量変動との因果関係を調査する。
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魚類繁殖機構に及ぼす地球温暖化・気候変動影響の早期警戒指標の構築
研究期間: 2019年04月 - 2024年03月 代表者: Strussmann C.A.
基盤研究(A) 研究分担者 19H01162
魚類の性分化と生殖機能は水温などの外的環境要因の影響を受けやすい。例えば、適応範囲を超える高水温/低水温は性決定機構の撹乱(性転換や雌雄比の偏り)や生殖細胞の退行変性(生殖能力の低下)を引き起こすと言われている。地球温暖化と気候変動が問題視されている今、それら生殖障害による生物集団の絶滅、さらには周辺生態系の崩壊の可能性が危惧される。本研究では地球温暖化と気候変動が魚類資源とそれを取り巻く生態系に与える悪影響を正確に予測・評価するため、水温起因の生殖障害が生じやすい魚種に着目し、「魚類繁殖機構に及ぼす地球温暖化・気候変動影響の早期警戒指標」の構築を目指す。
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研究期間: 2019年04月 - 2024年03月
基盤研究(B) 研究代表者 19H03048
魚類の性は「遺伝的要因」と「環境要因」の連続的バランスによって決定されるが、その共在の分子機構はほとんど未解明である。地球温暖化など種々の人為的環境ストレスが地球規模での問題となっている昨今、繁殖の根幹をなす性決定への「環境要因」の作用機序解明は恒久的な水産資源の利用と生物多様性の保全に不可欠である。本研究では、「遺伝的性決定」と「環境依存的性決定」の2つの性決定機構の特徴を完全に併せ持つモデル魚を用い、遺伝的性決定因子と種々の環境要因がどの様にせめぎ合い、性が決定されていくのかを調査する。